真珠は貝が作リ出す人類最古の宝石で、新約聖書や古事記にも記されています。真珠は自然のままで美しいため、宝石の研磨技術の無かった古代では、王侯貴族達が最も愛した宝石でした。月光を閉じ込めたような、控えめな銀白の輝きを放つ真珠は、女性的な美のシンボルと言えましょう。
真珠は海水産と淡水産に大別でき、現在では養殖真珠が大半を占めています。養殖による有核真珠は母貝の体内に「核」(真珠の芯になる部分)と「ピース」(真珠層を作る細胞)を入れることで作ります。淡水真珠に見られる無核真珠は体内に「ピース」のみを入れて作ります。また、半円真珠(マベ)は貝殻の内壁に核を貼り付ける方法を行っています。
◆真珠の種類
[アコヤ真珠]
アコヤ貝から採れる真珠で、サイズは2㎜~10mm位です。 国内では三重・愛媛・長崎・熊本を中心に養殖され、ピンクがかった白色が好まれます。
[白蝶真珠]
オーストラリアやフィリピンに生息する白蝶貝から採れる真珠で、「南洋真珠」とも言います。母貝が大きいので、一般的には8㎜~16㎜といった大粒の真珠が養殖でき、シルバーがかった白色が好まれます。最近はゴールデン・パールにも注目が集まっています。
[黒蝶真珠]
タヒチなどに生息する黒蝶貝から採れる黒い真珠で、サイズは9mm~14mm位です。特に「ピーコック・カラー」と呼ばれるグリーンがかった黒色が最も好まれます。
[淡水真珠】
淡水に生息するイケチョウ貝などから採れる真珠で中国や日本で主に養殖されています。 カラーバラエティーが豊かで、白系~オレンジ系を中心として、ピンク・ワイン・グレーのものも採れます。大半が無核真珠なため、小粒で変形したもの(ライス状)が多いです。
[マベ真珠]
マベ貝から採れる半円形の真珠。 マベ貝以外の貝から取れた半円真珠は通常マベと言えません。 サイズは11mm~18mm程です。
◆真珠の評価
真珠の価値は主に「形」「巻き」「キズ」「テリ(光沢)」「色」「大きさ」の6項目の総合評価で決まります。
[形]
球形に近いほど上質とされますが、しずく型の「ドロップ」のように美しく希少性の高い形は真円のものに匹敵します。また、少し歪みのある「バロック」などは真面目すぎず飽きが来ない楽しさがあります。TPOに合わせた形を選びましょう。
[巻き]
真珠の核を取り巻く真珠層の厚さのことです。 巻きが厚いほど耐久性が増し、底光りのような深い味わいある光沢が出ます。
[キズ]
真珠養殖中に自然形成された天然キズは、数・大きさ・位置・種類によって評価されます。完全にキズの無い真珠は極めて少なく、むしろ多少のキズは「真珠のエクボ」といわれ、本物の証明と言われています。
[テリ(光沢)]
テリは宝石表面における光の反射の質で、光沢とも言われます。真珠のテリは、巻きと関係があります。巻きが厚いものは反射が深く、重みのある光沢を示します。テリが良い真珠は、近づけたものを鏡のようにハッキリ映し返します。
[色]
真珠の色は「真珠層そのものの色」「核と真珠層の間にある物質の色」「光の干渉による色」で決まります。その為、全く同じ色を持つ真珠は2つとないのです。どの色が良いかは、真珠の種類と国柄によって異なります.
[大きさ]
真珠の直径のことです。真珠は重さで取引され、大きな珠が好まれるため、品質が同じであれば1個あたりの価格は、珠が大きいほど高価です。